編集部が注目した最新入荷情報をお届け。今回取り上げるのは、フランス空軍用クロノグラフとして有名な“タイプ20”です。
現在では、ブレゲがその名を冠したコレクションを展開していることでもよく知られていますが、実は当時製造を担ったのはブレゲだけでなく、ヴィクサとアウリコスト、ドダーヌ、エイランと複数の時計メーカーが行っていました。
さて、この“タイプ20”という名称。よくモデル名やコレクション名と勘違いされることが多いですが、そうではなくフランス国防省が定めた規格を指す名称です。1952年12月に制定されたのがタイプ20、そして56年4月に制定されたのがタイプ21となります。
今回紹介するモデルは、ヴィクサが製造したタイプ20になります。
回転ベゼル付きのフライバッククロノグラフ、視認性に優れたブラック文字盤&アラビア数字インデックスなど、各社規格に則って製造しているため基本仕様はほぼ同じ。この個体で搭載するのはタイプ20で唯一使用されているドイツメーカーのハンハルトのCal.4054になります。
実際に軍で使用されていたというバックボーンも大きな魅力ですが、その来歴が裏ブタなどに刻まれているという点も軍用時計ファンを魅了するポイントです。
この個体の裏ブタにも様々なアルファベットと数字が入っているのがご覧いただけるでしょう。
フランス軍は当時、時計の定期的な精度検査を実施し、保証期間を裏ブタに刻印していました。“FG”で始まる数字がそれです。この個体を見ると、1954年の納入から、79年までフランス軍の管理下で使用されていたことがわかります。
また、“5100 54”という数字はヴィクサの契約番号と契約年を示し、“P”はフランス軍が契約していた、パリの航空時計修理専門工房である“ペショワン”に送られたことあることを示しています。
こうした刻印にも注目してみると、いっそう軍用時計の奥深さに触れることができます。
【商品詳細】SS(39mm径)。手巻き(Cal.4054)。1954年頃製。77万円。取り扱い店/キュリオスキュリオ