今回紹介するのは、1960年代に亀戸の第二精工舎が製造したハイビートの手巻きムーヴメント、Cal.4502を搭載したキングセイコーだ。
そもそもハイビートと呼ばれるムーヴメントは、機械式腕時計の精度をつかさどるテンプというパーツが、一般的に毎時2万8800振動(毎秒8振動)以上のペースで動くもののことを指し、2万1600振動(毎秒6振動)以下のものをロービートとして区別している。当時のセイコーはスイスの天文台コンクールへの参加をとおして、振動数の向上、つまりハイビート化こそが時計の高精度化につながるものだと確信して開発研究を進めていたのだ。
今回紹介するのは、現行モデルでも不動の人気を誇るロレックス デイトジャストの、1970年頃に製造されたRef.1601だ。文字盤外周に段差を付けた、60年代から70年代のデイトジャストを代表するデザインが特徴的で、文字盤に立体感をもたらすと同時に、視認性の向上にも寄与している。36mm径の小振りなオイスターケースにフルーテッドベゼル、ジュビリーブレスレットを組み合わせた王道のスタイルだ。絶妙な色合いのグレー文字盤が落ちついた印象で、オンオフ問わずに着用できるだろう。
今回紹介するのは、1969年に製造されたIWCのオートマチック TVスクリーンだ。ブラウン管テレビのようなフォルムが特徴的で、どこかレトロな雰囲気を演出している。しかし、文字盤や針のデザインは従来のIWCと同様であり、端正でキリっとした印象のフェイスデザインに仕上がっている。
今回紹介するのは1964年頃に製造されたロレックスのデイデイトだ。貴金属を用いたケースを採用することで知られる同シリーズだが、本モデルでは18金イエローゴールドがふんだんに使用されている。通常の革ベルトに変更されているが、あえて金色のブレスレットではない仕様にすることで威圧感が抑えられ、落ち着いた雰囲気にまとまっている。キャラメル色の革ベルトもケースの色味とマッチしており、上品さを感じさせる組み合わせだ。
そして、この個体の特徴でもある艶やかで深みのあるブラックミラーダイアルに注目すると、一部が経年によってやや赤味を帯び、漆器のようなダークブラウンに変化しているのが見てとれる。愛好家に好まれるトロピカルダイアルのような、はっきりとした変色ではないものの、光の加減によって表情を変える絶妙な色合いが奥ゆかしさを感じさせる。
文字盤外周や時分針の根元に細かな傷が確認できるものの、目立つ破損や傷は見られない。
今回紹介するのは1960年代に製造された、エニカ ジェットグラフだ。
エニカは1854年にスイスのレングナウでラシン家によって創設され、1930年代には高精度の懐中時計メーカーとして名を馳せていた。このブランド名はラシン(RACINE)を逆から呼んだエニカ(ENICAR)からとったとされている。その後、ヨーロッパ各国の鉄道用時計に採用されたことでさらにその名を知られることとなったのだ。また30年代には防水ケースや自動巻きムーヴメントをいち早く実用化しており、第2次世界大戦中には軍用時計の供給も行っていた歴史をもつブランドなのだ。
ロレックスやオメガ、IWCなど、名だたる時計ブランドはその実用性や信頼性から高い価値を見出され、アンティーク愛好家たちの間ではいまなお高値で取引されている。
だがしかし、汎用ムーヴメントの採用や他社との協力開発によって良質な製品を生み出し、手ごろな価格帯で人知れず生き残り続けてきた傑作時計も数多く存在する。そこで今回は、マイナーだが確かな品質を備えた、隠れた名作シリーズを紹介する。
今回紹介するのは、1950年代にミドーが製造したマルチフォート パワーウインドだ。
マルチフォートシリーズは黎明期であった自動巻きのムーヴメントを防水性の高いケースに搭載した実用時計で、防水性能以外にも耐磁、耐衝撃性能を備えた高性能な腕時計として同社の歴史を支えてきた。
今回紹介するのは、1980年代に製造されたセイコー クレド―ル KZH 014だ。ウオッチデザインの巨匠、ジェラルド・ジェンタが手掛けたクレドール ロコモティブを思わせるようなブレスレットデザインが特徴的だ。

スリムかつコンパクトなフォルムでありながら、楕円形のガラス風防や14金YG製ベゼルの立体的な造形が、力強さを感じさせる。ムーヴメントはクォーツ式のため、比較的細身の針が取り付けられているが、剣を思わせるような根元を絞ったフォルムが、造形全体に奥行きをもたらしている。どこか乗り物を連想させるディテールが、一体型ブレスレットと組み合わさることで、よりいっそうスポーティーな印象を際立たせている。
今回紹介するのは、1960年代後半から1970年代後半頃まで製造されていたブライトリングのナビタイマー クロノマチックだ。
1969年、かつて量産化は非常に困難とされていた自動巻きクロノグラフを、スイスと日本の時計メーカーが一斉に発表した。ブライトリングもその中の一社であり、ホイヤーを中心に、レオニダスやマイクロローター式の自動巻きを得意とするビューレン、そしてその親会社であるハミルトン、さらにクロノグラフ機構に長けたデュボア・デプラらが協力し、共同で開発・製造を行っていた。
今回紹介するのは、1960年代に製造されたIWC インヂュニアの第2世代モデルだ。インヂュニアは、第2次大戦中、軍用時計として製造されたマークシリーズで得られた耐磁技術を民生品に転用し、高い耐磁性能を与えられたシリーズなのだ。
強い磁気にさらされる技術者をターゲットに開発された高い耐磁性能を備えたモデルであり、現在でもIWCの主力コレクションとして展開されている。特に、70年代以降にウオッチデザインの巨匠、ジェラルド・ジェンタが手掛けたブレスレット一体型のデザインが特徴的なモデルから、この名前を知ったという人も多いかもしれない。
今回紹介するのは、1970年代に製造されたロレックス オイスターパーペチュアルデイト Ref.1500だ。時計愛好家の間では超定番のモデルであり、平凡過ぎるという意見も見られるものの、安定した性能とトータルバランスに優れた設計から、実用的なアンティークウオッチとして高い評価を得ている。
そんなオイスターパーペチュアルだが、バリエーションは豊富に展開されており、なかにはユニークな文字盤デザインも存在する。
ここで取り上げるのもそのひとつで、爽やかなブルーに波打つ海面のような模様の入った通称“ブルーミストダイアル”だ。細やかな模様と光の加減によって色味や表情が変化するのが特徴になっている。晴れた屋外や曇り空、室内灯など、それぞれの光源によって文字盤の変化を楽しめるため、飽きのこないデザインと言えるのではないだろうか。文字盤や針、インデックスには目立った傷や腐食は見られず、比較的良好な状耐を保っている点も見逃せない。