今回紹介するのは、1960年代後半から70年代頃にかけて製造された、ワイラーのダイバークロノグラフだ。
コアなアンティークウオッチ愛好家であれば一度は耳にしたことがあるかもしれないが、一般的な知名度はほぼ皆無と言っていいほどのマイナーブランドである。
しかし、ワイラーは機械式時計における“耐衝撃性”という課題に対し、独自の機構を生み出してきた実力派メーカーとして、時計史の中に確かな足跡を残している。
ワイラーは1896年、スイス・バーゼルにてポール・ワイラーによって設立された。1927年には、機械式時計の心臓部とも呼べるテンプの軸の破損を防ぐ独自の耐震装置“インカフレックス”を発明し、一躍その名を知られる存在となった。同社はこの機構をETA社などから供給されたエボーシュムーヴメントに搭載することで、市場での評価と人気を高めていったとされている。
今回紹介するのは、1940年代後半に製造されたジャガー・ルクルトのラウンド オートマチックだ。
文字盤外周には夜光塗料が塗布されたアラビアインデックス、その内側にはレイルウェイトラックが配されており、非常に特徴的なデザインを持つ1本である。紫外線や湿気、夜光塗料などの影響によって経年変化は見られるものの、全体として均一に変化しているため汚らしさはなく、程よい焼け具合に収まっている。
青焼きのローザンジュ針はミニッツマーカーにしっかりと届く長さを備え、文字盤上で主張しすぎない絶妙なバランス感が魅力的だ。秒針には、端部に玉を配したカウンターウェイトを持ち、根元を菱形としたデザインが採用されており、その繊細な仕上げから当時の手間の掛け具合がうかがえる。
今回紹介するのは、1950年代中頃に製造された、ゼニスの Cal.135 ムーヴメントを搭載するクロノメーターモデルだ。本個体はケース素材に18金イエローゴールドを使用し、1950年代の時計としては大型となる37mm径を採用した希少な一本である。
ケースや文字盤などに目立ったダメージもほとんど見られず、非常に良好なコンディションを維持した逸品だ。
ゼニスの Cal.135 と言えば、2025年のウォッチズ&ワンダーズにて発表された、創業160周年記念モデル”G.F.J.”に搭載されたムーヴメントとして記憶している人も多いのではないだろうか。
復刻された Cal.135 は歯車形状の再設計や各部素材のアップデートが施され、パワーリザーブは約72時間まで延長。さらに日差も±2秒以内に調整されており、ベースとなったオリジナル Cal.135 の設計がいかに優れていたかを改めて実感させられる。
ロレックスやオメガ、IWCやロンジンなど、名だたる時計ブランドは、その実用性や信頼性から高い評価を受け、アンティーク愛好家たちの間では現在もなお高値で取引されている。
だがしかし、汎用ムーヴメントの採用や他社との協力開発によって良質な製品を生み出し、手ごろな価格帯で人知れず生き残り続けてきた傑作時計も数多く存在する。そこで今回は、マイナーながらも確かな品質を備えた、隠れた名作シリーズを紹介したい。
今回紹介するのは、1970年代に製造されたモバードのトランスアトランティック Sub-Sea50だ。
今回紹介するのは、1972年頃に製造されたロレックスのオイスター プレシジョンだ。
34mm径のコンパクトなオイスターケースにエンジンターンドベゼルを組み合わせた、シンプルかつ端正なデザインが魅力の個体だ。手巻きムーヴメントを搭載する本モデルは、自動巻きのオイスターパーペチュアルと比べてケースが薄く、軽快な装着感を備えている点も特徴である。
本個体のコンディションに目を向けると、長年の使用に伴うキズやスレ、ヘアライン仕上げの薄まりは見受けられるものの、オリジナルのケースシェイプは良好に維持されている。
今回紹介するのは、1968年頃に製造されたロレックスのオイスターパーペチュアル Ref.1038だ。
本個体はオイスターパーペチュアルの中でも極めて独特な意匠を持つ希少モデルで、主にアメリカ市場をターゲットに展開されたといわれる“ゼファーダイアル”を備えている点が大きな特徴となっている。
12時位置の王冠マークを除く11か所に夜光塗料入りのアワーマーカーが配され、ダイアル中心部からはクロスラインが描かれている。通常モデルとは異なり、植字によるインデックスやミニッツマーカーのプリントが省略されている点も見逃せないポイントだ。時分針についても、段のついた形状の専用品が採用されている。
今回紹介するのは、1940年代に製造されたロンジンの手巻き時計だ。
文字盤外周と中心部が色分けされたツートンダイアルが特徴的で、青焼きのリーフ針と組み合わせることで、優れた視認性を実現している。シンプルでありながら、美しいバランスのフォントが採用されたアラビアインデックスも、上品さを感じさせるポイントだ。
本個体にはシリンダーケースと呼ばれる、ステンレススチールの塊を筒状に打ち出したような形状のケースが採用されている。ツール感あふれる、シンプルかつ武骨な造形が魅力的だ。1940年代当時、ステンレススチールは加工が困難であったとされており、ケース側面やラグなどは必要最低限のシンプルな面で構成されている。しかし、ケースの各面に歪みは見られず、美しい造形を実現している点は特筆すべきだ。
ケースのコンディションに注目すると、使用に伴うわずかな小キズが見られるが、研磨などによるケースシェイプの崩れもなく、非常に良好な状態を維持している。
今回紹介するのは、手巻きムーヴメントを搭載した、カルティエのマストタンク LMだ。
カルティエの腕時計を代表するタンクは、ルイ・カルティエが第1次世界大戦中の戦車からインスピレーションを得てデザインした腕時計であり、1917年頃に誕生して以来、時計史に残る名作として現在でも高い人気を集めている。
カルティエの手掛ける腕時計は、基本的にケース素材に貴金属を用いた高級品であったが、1970年代にはより多くの人々にカルティエの美学を届けるため、“生活に不可欠なもの”を意味する“マスト”をコンセプトに掲げ、ケース素材にステンレススチールやヴェルメイユ(金張り)を採用した“マスト ドゥ カルティエ”コレクションを生み出したのだ。
その中でも今回紹介する“マストタンク”は、 シルバー925のベースにヴェルメイユ(金張り)を施したケースに木目のような模様のブラウンのラッカーダイアルを組み合わせた、カルティエらしいクラシカルで上品なデザインが魅力的なモデルだ。
今回紹介するのは1970年代に製造されたユニバーサル ジュネーブのホワイトシャドウだ。
このモデルは後にオーデマ・ピゲの“ロイヤルオーク”やパテック・フィリップの“ノーチラス”を世に送り出すことになるジェラルド・ジェンタがデザインを手掛けたとされており、ベゼルの無い滑らかなCラインケースを採用している点が特徴的だ。
今回紹介するホワイトシャドウはステンレススチールをケース素材に採用しているが、ケース全体が金無垢素材で作られたゴールデンシャドウ、金張りケースを採用したギルトシャドウなど、ケース素材や仕上げによってモデル名が決められているようだ。
今回紹介するのは、1970年代に製造されたホイヤーのスキッパーだ。
40mm径のがっしりとしたケースにタキメーター付きのベゼルを備えた、武骨なデザインが魅力的な手巻きクロノグラフである。
3時位置に配されたトリコロールカラーのインダイアルが本モデル最大の特徴で、船上でレースのスタート合図直前のカウントダウンを計測するためのヨットレース用タイマー、通称“レガッタタイマー”として製造されたモデルだ。通常のクロノグラフに装備される積算計の表示とは異なり、15分のカウントダウン表記となっている点が、レガッタタイマーならではの特徴だ。