今回紹介するのは、1960年代にセイコーが製造したキングセイコーの手巻きモデルだ。本モデルは亀戸に工場を構えた第二精工舎が製造した個体であり、搭載されるCal.44系ムーヴメントにちなみ、愛好家の間では“44KS”としても親しまれている。
力強さを感じさせる太く角ばったラグに、ボックス型のプラ風防を採用した非常にマッシブなケース造形が特徴的で、それまでの国産時計とは一線を画した、大胆なデザインが取り入れられている。リューズにも特殊な形状のものが採用されており、大振りな刻みが入った専用品が装備されている点にも注目だ。
さらに、ケースの裏ブタには金色の盾のメダリオンがはめ込まれており、高級機らしい荘厳な雰囲気をただよわせる。なお、ファーストモデルではスナップ式の裏ブタが採用されていたが、後継モデルである本シリーズではスクリューバック式に変更され、気密性を高めている。
1917年に誕生した“タンク”は、ルイ・カルティエが第1次世界大戦中の戦車からインスピレーションを得てデザインした腕時計であり、時計史に残る名作として現在でも高い人気を集めている。
カルティエの手掛ける腕時計は、基本的にケース素材に貴金属を用いた高級品であったが、1970年代にはより多くの人々にカルティエの美学を届けるため、“生活に不可欠なもの”を意味する“マスト”をコンセプトに掲げ、ケース素材にステンレススチールやヴェルメイユ(金張り)を採用した“マスト ドゥ カルティエ”コレクションを生み出したのだ。
その中でも今回紹介する“マストタンク”は、 シルバー925のベースにヴェルメイユ(金張り)を施したケースにカラーダイアルを組み合わせた、より自由で遊び心ある表現が魅力的なモデルだ。
今回紹介するのは、1950年代後半にビューレンが製造したスーパースレンダーだ。その名が示すとおり、自動巻き腕時計で薄型化を目指したモデルであり、後の自動巻きクロノグラフの開発にも貢献することとなる技術が盛り込まれた時計であった。
シンプルな筋目仕上げの文字盤に、ダイナミックなフォントが用いられた“スーパースレンダー”の表記が特徴的だ。全体的にキズや打痕などは目立たず、非常に良好な状態を維持している。裏ブタ周りにはサビなどが見られるものの、大きな腐食は目立っていない。ムーヴメントも、気密性の高いスクリューバックのおかげで、腐食や変色は見られず、良好なコンディションを維持している。
そんな本モデルで特に注目すべき点は、搭載されているムーヴメントにある。
今回紹介するのは、1980年代に製造されたロレックスのシードゥエラー Ref.1665だ。
サブマリーナーの上位機種として1967年に発表されたモデルで、当時のサブマリーナーの約3倍にあたる610mの防水性能を実現していたとされている。さらに、シードゥエラーはヘリウム混合ガスを排出するバルブを備えることで、100mを超える飽和潜水に対応すべく開発された時計であり、ガスケットすらも透過してしまうヘリウムによる時計の破損を防ぐ工夫がなされていた。
今回紹介するのは、1993年頃に製造されたチューダーのプリンス オイスターデイト サブマリーナーだ。アンティークウオッチと呼ぶにはまだ新しい部類だが、アンティークウオッチにも通じる実用性重視の設計が魅力の1本である。かつて“チュードル”の名で親しまれていたことを記憶している方も多いかもしれない。
ロレックスのディフュージョンブランドとして知られるチューダー。そのスポーツモデルのサブマリーナーにはロレックスのオイスターケースが採用されており、裏ブタとリューズにはロレックスの名が刻まれている。防水モデルのなかでは珍しい両方向回転ベゼルが採用されているため、アンティーク品と同様の操作感が得られるのがマニアにはうれしいポイントだ。加えて、長期使用に伴って懸念されるベゼル内部のクリックスプリングやノッチの摩耗についても、心配が少ない構造となっているのは大きな魅力だろう。
今回紹介するのは、セイコー クレドールのKZT014だ。
オーデマ ピゲのロイヤルオークを思わせるような8角形のベゼルやケース一体型のブレスレットの造形が特徴的だ。一見するとクレドール ロコモティブにもよく似ているため、ウオッチデザインの巨匠であるジェラルド・ジェンタ氏が手掛けたデザインにも見えるが、本モデルのデザインはジェンタ氏によるものではなく、セイコーの社内デザイナーによるものだった可能性が高いとのことだ。
ラグジュアリー感あふれる造形とは裏腹に、スクリューバックの裏ブタやネジ込み式のリューズが採用されており、製造当時は10気圧防水を誇っていたとされている。同社のダイバーズウオッチを思わせるようなディテールのリューズが、どこかスポーティーさを感じさせる。
今回紹介するのは、1968年頃にロレックスが製造したデイトジャスト Ref.1625、通称“サンダーバード”と呼ばれるモデルだ。
この“サンダーバード”という名は、アメリカ空軍のアクロバットチーム“サンダーバーズ”の隊長、ドン・フェリス大佐の引退記念モデルとして特別発注されたことに由来しているという説が有力である。本モデルは、初代のRef.6309や2代目モデルのRef.6609に続く、3代目のモデルとされており、比較的長期間にわたって製造されていたことで知られている。
今回紹介するのは、1968年にセイコーが生み出したハイビート自動巻きのグランドセイコーだ。本モデルは、搭載ムーヴメントの“Cal.6146”にちなみ、愛好家の間では“61GS”の愛称で親しまれている。
厚みのあるどっしりとしたフォルムのケースにはブランドのアイコンとも呼べるセイコースタイルが採用されており、他メーカーとは一線を画すスタイリングが魅力的だ。GSのロゴが刻印されたリューズも、ケースの力強い造形に調和するよう、大振りで刻みの大きい専用品が採用されている。
文字盤のインデックスやロゴ、デイデイト窓の枠には、手間のかかる植字仕上げが施されており、高級機らしい上質な作りが際立っている。クロスラインの入ったサンレイ仕上げの文字盤が特徴的な個体だ。ケースなどには使用感を感じる小傷が見受けられるが、オリジナルのシェイプを保った良好な状態をキープ。文字盤も目立った傷や変色は見られない良好なコンディションだ。
ロレックスと言えば、高級時計の代名詞として語られ、近年では中古品でも価値の下がりにくい資産価値から、転売を目的とした購入者が多いイメージが大きいかもしれない。しかし、その人気を築いたのは、防水性を高めるためのオイスターケースや、手巻きを必要としない自動巻きのパーペチュアル機構など、実用性と耐久性を重視した設計を積極的に採用した、ツールウオッチとしての歴史と信頼性の高さと言えるだろう。
今回紹介するのは、そんなロレックスが1970年代に製造したデイトジャスト Ref.1601だ。ホワイトゴールド製のフルーテッドベゼルとサイクロップレンズ、ステンレススチール製のジュビリーブレスレットが組み合わされた王道のスタイルで、状態の良いブルーの文字盤が爽やかな印象を与える1本だ。
今回紹介するのは、現在のグラスヒュッテ・オリジナルの前身とも呼べる、グラスヒュッテ・ウーレンベトリーベ(GUB)が1960年代後半から70年代後半頃に製造したと思われるスペシマティックだ。
どこか安っぽさを感じさせる金張りのケースや、シンプルなサンレイ仕上げの文字盤、スナップバック式の裏ブタなど、一見すると現在のグラスヒュッテ・オリジナルからは想像しにくい、質素な仕上がりに見えるかもしれない。しかし、当時のGUBは共産圏に属していたため、西側諸国で繰り広げられていた開発競争の影響を受けにくく、独自の設計思想によるムーヴメント開発が進められていたのだ。