Detail
MOVADO《Kingmatic》。
1960年代に製造された自動巻きモデル。
ケースは曲面を活かした造形で、
太めのラグと薄いベゼルが全体のバランスを整えています。
純正ライスブレスとの組み合わせは、
クラシックでありながらスタイリッシュな印象。
搭載ムーブメントは Cal.MOVADO 538。
28石を使用した堅牢な構造で、
リューズの二段目を引くことで日付を早送りできる
「CLICK-DATE」機能を備えています。
巻き上げ効率と安定性に優れ、日常使いにおいても信頼できる機構。
曲線の意図、“S形ローター”に託された“Futuramic”。
モバードの自動巻きローターに見られる“S”字のカーブ。
この形状はバンパー式自動巻きにおける衝撃吸収のための設計。
“S”の曲線は、ローターの動きに対してバネのように働き、
衝撃を和らげる役割を果たしています。
視覚的にも印象的でありながらも、
機構的な合理性を伴う造形として、
モバードはこれを特許取得し、“Futuramic”と名付けました。
機能性と造形美が静かに調和したフェイス。
文字盤には縦方向のヘアラインが施され、
アプライドインデックスがしっかりとした高さを持って配置。
ドルフィン型の時短針は山折りされ、
磨かれた秒針とともに光を巧みに捉え、視認性を高めています。
今日、暴かれつつある語られぬ魅力。
ヴィンテージ・モバードの価値は、価格では測れません。
それは、手に取った者だけが知る“質感”であり、
今や語られぬ設計思想の残響であると言えます。