【ブレスレットのような上品さと軽やかさに注目!】大きな駆動音も魅力的なレクタンギュラーウオッチ

2025/09/26
by 菊地 信

今回紹介するのは、1930年代に製造されたマービンの14金イエローゴールド製レクタンギュラーモデルだ。22×37mmのサイズは現代の感覚からすると、レディースウオッチにも見えるが、当時はメンズ向けに販売されていた。現在ではジェンダーレスに使用できる絶妙なサイズ感が魅力的だ。

14金YG製のケースと青焼きの時分針が美しく、シンプルなセクターダイアルと組み合わせたアール・デコ様式のデザインが、まるでアクセサリーのブレスレットのような雰囲気を演出している。特に、レクタンギュラーケースならではの、横に張り出さないケース形状が腕になじみやすく、ラウンド型の時計にはないコンパクトな装着感が魅力的だ。

【グランドセイコーに対抗したシチズンの名機!】特殊な手巻きムーヴメントを搭載したシチズンクロノメーター

2025/09/25
by 菊地 信

今回紹介するのは、1962年に当時のシチズンの技術力を集約したモデルとして発売された、シチズンクロノメーターだ。当モデルはシチズンがその威信をかけ、1本1本、職人が手作業で仕上げるなど採算を度外視して製造されたといわれ、販売価格は2万8000円とグランドセイコーの2万5000円よりも高額だった。

力強さを感じさせる太いラグやインデックス、時分針がこの時計の特別さを物語っている。裏ブタには、翼を広げた鷲が刻印された大きなメダリオンがはめ込まれ、グランドセイコーの獅子マークに負けない、圧倒的なオーラを放っている。シンプルでありながらも、荘厳な雰囲気を感じさせる外装デザインに注目だ。

【文字盤にブラッドストーンを使用!】1970年代に製造されたニバダの“ストーンダイアル”とは

2025/09/24
by 菊地 信

今回紹介するのは、1970年代に製造されたニバダのサントス タイガーアイだ。数々の名作実用時計を輩出してきた同社だが、そのなかにはユニークなアイディアを実現した時計も数多く存在した。

今回紹介する個体は、パワーストーンとして知られる“ブラッドストーン”(赤い斑点のある玉髄)を文字盤に採用しており、70年代らしいチャレンジングな仕上がりが特徴的だ。モデル名にタイガーアイと入っているが、あくまでも本モデルで採用されているのはブラッドストーンである点に注意したい。

【涼しくなってきた秋口にオススメ!】10万円以下から狙える手巻き2針のドレスウオッチ

2025/09/23
by 菊地 信

まだまだ日差しの強い日が続いているものの、ここ数日で蒸し暑さが和らぎ、心地よい風が感じられるようになってきた。そんな秋の気配を感じる涼やかな季節は、アンティークウオッチ愛好家にとって待ちに待った時期とも言えるだろう。

そこで今回は、10万円以下という、アンティークウオッチのなかでも比較的手頃に購入できる価格帯から、編集部がおすすめしたい手巻き時計を紹介する。

今回紹介するのはユニバーサル・ジュネーブのスクエアケースだ。2針の手巻きという、きわめてシンプルな構成だが、ケースの作りこみやベゼルの細やかな造形が確かな存在感を放っている。ケースサイドはヘアライン仕上げによって整った面が出されており、小傷が目立ちにくいのがうれしいポイントだ。またドレスウオッチの場合、破損などで交換されることの多い、オリジナルのU字が刻印されたリューズが残っている点にも注目だ。

【当時世界的にも珍しいセイコーのハイビートムーヴメント!】高精度化を目指した国産時計に注目

2025/09/22
by 菊地 信

今回紹介するのは、1960年代に亀戸の第二精工舎が製造したハイビートの手巻きムーヴメント、Cal.4502を搭載したキングセイコーだ。

そもそもハイビートと呼ばれるムーヴメントは、機械式腕時計の精度をつかさどるテンプというパーツが、一般的に毎時2万8800振動(毎秒8振動)以上のペースで動くもののことを指し、2万1600振動(毎秒6振動)以下のものをロービートとして区別している。当時のセイコーはスイスの天文台コンクールへの参加をとおして、振動数の向上、つまりハイビート化こそが時計の高精度化につながるものだと確信して開発研究を進めていたのだ。

【ギラつかない渋さが魅力的!】控えめな雰囲気のアンティークロレックス

2025/09/19
by 菊地 信

今回紹介するのは、現行モデルでも不動の人気を誇るロレックス デイトジャストの、1970年頃に製造されたRef.1601だ。文字盤外周に段差を付けた、60年代から70年代のデイトジャストを代表するデザインが特徴的で、文字盤に立体感をもたらすと同時に、視認性の向上にも寄与している。36mm径の小振りなオイスターケースにフルーテッドベゼル、ジュビリーブレスレットを組み合わせた王道のスタイルだ。絶妙な色合いのグレー文字盤が落ちついた印象で、オンオフ問わずに着用できるだろう。

【ブラウン管テレビのような形状がレトロチック!】絶妙なケースフォルムが可愛らしいIWCの自動巻き腕時計

2025/09/18
by 菊地 信

今回紹介するのは、1969年に製造されたIWCのオートマチック TVスクリーンだ。ブラウン管テレビのようなフォルムが特徴的で、どこかレトロな雰囲気を演出している。しかし、文字盤や針のデザインは従来のIWCと同様であり、端正でキリっとした印象のフェイスデザインに仕上がっている。

【金無垢ケースに漆器を連想させるブラック文字盤が美しいロレックス】エレガントな装いのデイデイトに注目

2025/09/17
by 菊地 信

今回紹介するのは1964年頃に製造されたロレックスのデイデイトだ。貴金属を用いたケースを採用することで知られる同シリーズだが、本モデルでは18金イエローゴールドがふんだんに使用されている。通常の革ベルトに変更されているが、あえて金色のブレスレットではない仕様にすることで威圧感が抑えられ、落ち着いた雰囲気にまとまっている。キャラメル色の革ベルトもケースの色味とマッチしており、上品さを感じさせる組み合わせだ。

そして、この個体の特徴でもある艶やかで深みのあるブラックミラーダイアルに注目すると、一部が経年によってやや赤味を帯び、漆器のようなダークブラウンに変化しているのが見てとれる。愛好家に好まれるトロピカルダイアルのような、はっきりとした変色ではないものの、光の加減によって表情を変える絶妙な色合いが奥ゆかしさを感じさせる。

文字盤外周や時分針の根元に細かな傷が確認できるものの、目立つ破損や傷は見られない。

【GMT機能も搭載した手巻きクロノグラフ!】スイスの名門が手掛けたスポーツ系クロノグラフ

2025/09/16
by 菊地 信

今回紹介するのは1960年代に製造された、エニカ ジェットグラフだ。

エニカは1854年にスイスのレングナウでラシン家によって創設され、1930年代には高精度の懐中時計メーカーとして名を馳せていた。このブランド名はラシン(RACINE)を逆から呼んだエニカ(ENICAR)からとったとされている。その後、ヨーロッパ各国の鉄道用時計に採用されたことでさらにその名を知られることとなったのだ。また30年代には防水ケースや自動巻きムーヴメントをいち早く実用化しており、第2次世界大戦中には軍用時計の供給も行っていた歴史をもつブランドなのだ。

【オメガやIWCだけじゃない】10万円以下で購入できる隠れた名作実用時計 No.2

2025/09/15
by 菊地 信

ロレックスやオメガ、IWCなど、名だたる時計ブランドはその実用性や信頼性から高い価値を見出され、アンティーク愛好家たちの間ではいまなお高値で取引されている。

だがしかし、汎用ムーヴメントの採用や他社との協力開発によって良質な製品を生み出し、手ごろな価格帯で人知れず生き残り続けてきた傑作時計も数多く存在する。そこで今回は、マイナーだが確かな品質を備えた、隠れた名作シリーズを紹介する。

今回紹介するのは、1950年代にミドーが製造したマルチフォート パワーウインドだ。
マルチフォートシリーズは黎明期であった自動巻きのムーヴメントを防水性の高いケースに搭載した実用時計で、防水性能以外にも耐磁、耐衝撃性能を備えた高性能な腕時計として同社の歴史を支えてきた。